開催報告「知識講習~現場で働くうえで、役立つ知識~」

知識講習を1日で完了するセミナーが、Zoomにて開催されました。
講師は3名で構成されており、それぞれの専門性を活かした講義が行われました。
福島大学名誉教授の五十嵐敦先生からは、大学生・高校生といった学生支援に長年携わってきた中で培われた視点や、現在行っている研究分野からの考察が盛り込まれました。
社会保険労務士・キャリアコンサルタント・公認心理師である山田真由子講師は、特にキャリアコンサルタントに不足しがちな労働法や行政の仕組みに関する話が、新鮮で興味深い内容でした。
1級キャリアコンサルティング技能士・公認心理師の田崎慎子講師からは、企業や大学でのキャリアコンサルタントとしての実務経験に基づく知見が紹介されました。
まず、五十嵐先生の講義では、「車の運転中、交差点で確認を忘れた」といった事例を取り上げ、老化という視点からの考察が提示されました。高齢化とは何か。運転に慣れており、学習レベルでは問題なく操作できるはずの人でも起こしてしまう“うっかりミス”を、単なるミスではなく心身の老化としてどう捉えるか。外側から老化を見て取れたとしても、本人がどの程度それを自覚できているかはまた別問題です。キャリアコンサルティングにおいては、自分の視点だけで物事を捉えるのではなく、環境やクライエントの感じ方・考え方、さらには本人の気づきとは無関係な側面まで含めて考えることが重要であるという、新たな視点を得る気づきがありました。
また、発達障害については、DSM-5によって診断基準が明確になってきている一方で、キャリアコンサルタントとしては病名そのものにとらわれるのではなく、その人がこれまで何をしてきたか、何をしたいのか、今何ができるのかに焦点を当てることが大切であると説かれました。
女性活躍推進法の特集では、「えるぼし認定」「プラチナえるぼし認定」など、女性の活躍の場を広げる制度や、仕事と家庭の両立を支援する体制について学びました。また、企業におけるキャリア形成の仕組みや、「セルフジョブカード」などのツールも紹介され、山田講師・田崎講師から多くの実践的な内容が、質疑応答を交えながら展開されました。
充実した8時間は、あっという間に過ぎました。
受講者の皆さま、お疲れ様でした。